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2020.12.10

大澤範恭の理事ブログ『働き方改革』2020年12月8日号

今週のコラム「皆さんの職場の就業規則は大丈夫ですか?」(2020年12月8日号)

最近、いくつかの職場の就業規則を拝見していると、同じような点に気が付くことがあります。制度改正に追いついていなかったり、見落とされたりしている点がいくつかあります。皆さんの職場の就業規則は大丈夫ですか?今回ご紹介する点について、一度確認してみてください。

 

1 パートタイム労働者に関する定め

 

就業規則には、「パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。」となっているのに、その別の定めが見当たらない場合があります。

 

パートタイム労働者等について、就業規則の一部を適用除外する場合や全面的に適用除外とする場合には、雇用契約書に規定するだけでは不十分であり、就業規則本体にその旨明記し、パートタイム労働者等に適用される規定を設けたり、別の就業規則を作成しなければなりません。

 

特に、いわゆる働き方改革関連法(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」)により、2020年4月(従業員100人以下等の中小事業所においては2021年4月)から、パートタイム労働者や有期雇用労働者について、職務内容、職務内容・配置の変更範囲等を考慮して、通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けることは禁止されます。賃金だけでなく、福利厚生、休暇などすべての待遇が対象となり、パートタイム労働者等に説明できるように、就業規則等においてその取扱を明確にしておくことが必要です。

 

2 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得など

 

育児・介護休業法施行規則が改正され、2021年1月1日から、子の看護休暇および介護休暇は、時間単位で始業時刻から連続または終業時刻まで連続して取得することができるようになります。

 

就業規則または育児介護休業規程において、その旨、明記する必要があります。

 

そのほか、育児休業は、一定の場合、子が2歳に達するまで認められますが、育児介護休業規程などには、いまだに子が1歳6か月に達するまでしか育児休業が認められないとされていたり、見落としがちなのは、育児休業の申出を拒むことができる従業員について定めた労使協定の規定が、子が2歳に達するまで育児休業が認められることを前提としていないことがありますので、ご注意ください。

 

3 副業・兼業

 

労働者の副業・兼業について、裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であることが示されています。

 

ただし、労働者の副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩がないか、長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、就業規則において、労働者からの事前の届出により労働者の副業・兼業を把握することを規定しておくことが必要です。

 

特に、病院勤務医の場合、複数の医療機関で医療に従事するケースが多く、今後、時間外労働時間の上限規制が始まるに当たって、医師の自己申告にしたがって、それぞれの医療機関での労働時間を通算して把握する必要がありますので、ぜひ就業規則にその根拠規定を設けておいてください。

 

4 時間外労働等の割増賃金の算定基礎から除外できる賃金

 

割増賃金の算定基礎から除外することができる賃金には、家族手当や通勤手当のほか、別居手当、子女教育手当、住宅手当、退職金等臨時に支払われた賃金、賞与等1か月を超える期間ごとに支払われる賃金がありますが、これらの手当を除外するに当たっては、単に名称によるのではなく、その実質によって判断しなければならず、これらの手当に該当しないものはすべて割増賃金の算定基礎に含めなければなりません。

 

例えば、住宅手当の場合、割増賃金の基礎から除外されるのは、住宅に要する費用に応じて算定される手当であり、住宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当は、除外できないとされています。

 

賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給することとされているもの、扶養家族がある場合には2万円、扶養家族がない場合には1万円を支給することとされているもの、全員に一律に定額で支給することとされているものなどは、割増賃金の算定から除外できないとされていますので、ご注意ください。

 

5 代休と振替休日の違い

 

就業規則の中で、代休と振替休日の違いを混同していることがよく見受けられます。

 

「振替休日(休日の振り替え)」とは、予め休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。従って、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。

 

一方、いわゆる「代休」とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。従って、休日労働分の割増賃金を支払う必要がありますので、ご注意ください。

 

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