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2021.6.2

コロナで露呈した地域医療の問題

コロナ感染者を受け入れる病院が不足し、多くの自治体が病床確保に苦心している状況で、その危機対応力に多くの関心が寄せられております。国は少子高齢化と人口減少で医療需要が変化するなか、2025年に向けて「地域医療構想」を都道府県に策定させ、①高度急性期 ②急性期 ③回復期 ④慢性期  病院の再編・統合を進めてますが、このコロナ禍で、病床・病院が多すぎて医療従事者が分散してる問題が露呈しました。
国内の一般病床は90万床近くある一方、病床に対する看護師数は米国や英国の4分の1程度、1病院あたりの医師数も少ないなど(米国137人・ドイツ114人・日本38人)、コロナの重症患者のケアが出来ない要因の一つが、ここにあります。その結果、米国の大病院はコロナ患者を100人規模で受け入れていますが、日本では400床以上の病院でのコロナ患者受入数は中央値で6人となっているわけです。
日本では医師1人で5床を受け持ちますが、米国・英国では1床であり、先進国としては、明らかに低密度の医療体制となっています。これらの要因は、一般に医療インフラの充実度を病床数でとらえてきたことにあり、人口1000人あたりの病床数は13床でOECDで最多、2位のドイツの8床を大きく引き離しています。その結果として病床数に対する医療人材の手薄さが今回浮き彫りとなったかたちです。
そのような中で、国は、民間病院に病床確保の要請をするだけでなく、厚生労働省が管轄する国立病院機構(全国に140施設、53,223床 令和元年10月1日現在)に対しての政治力と行政力をどのように発揮するのかを注視していきたいものです。いずれにしても、地域医療を維持するためには、医療資源の再配置を必要としております。

2021年6月2日
NPO開業支援塾21 小川裕司

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