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2021.11.11

医療業界News

2021年11月8日の日経新聞一面TOPでは、
~病床再編 戦略なき迷走~「基金空振り、全自治体で計画未達」と題して、国の基金を利用して地域医療の非効率な過剰病床減らす政策の迷走をクローズアップしてるが、紙面でも記すように病床再編に補助金で誘導する仕組みの限界は以前から指摘されていた問題であり、累計1万3700床の再編計画に対して、実現したのは945床とお寒い状況である。
国や自治体が医療現場の構造問題に目をむけないまま基金による政策誘導の結果の塩漬けが露呈した結果だが、今後は国・自治体が地域医療の見える化に向けてどう動くかがポイントになる。
消費税増税分を財源として、2025年を見据え2014年に設置した地域医療介護総合確保基金だが、都道府県は必要額の前提となる市区町村の医療・介護計画を取りまとめ、国に提出しなければならない。
しかし、2014 年度から始まった医療分の対象事業に、病院の機能転換を進めるための医療機関整備に関する事業だけでなく「医療従事者の確保に関する事業」も加えられ,医療従事者の確保・養成に関わる多数の国庫補助事業が、地域医療介護総合確保基金で引き続き実施可能であるという理由で廃止されたことは、この新しい基金の性格を曖昧なものにしてしまっている。
病床再編には総論賛成、各論反対と多くの課題が山積しているなか、まだまだ予断を許さない。

地域医療介護総合確保基金
少子高齢化の急速な進行に伴う医療・介護需要の一層の増大が見込まれるなか、医療・介護の提供体制の改革が推し進められている。いわゆる「団塊の世代」が全て75 歳以上となる2025 年を1 つの目安として、医療機能の分化・連携の推進を目指す「地域医療構想」1)の策定や,高齢者が住み慣れた地域での生活を継続できるようにするための「地域包括ケアシステム」の構築が進められているほか、医療や介護に従事する人材の確保・養成に向けた取り組みの強化も図られている。
こうした医療・介護の提供体制改革を推進するための新たな財政支援制度として、2014 年度に各都道府県に設置されたのが「地域医療介護総合確保基金」である。この基金は、都道府県が医療・介護の総合的な確保のために実施する事業の経費を支弁するものとして、国が3 分の2、都道府県が3 分の1 を負担する形で造成されたものである。2014 年度からは医療分として約904 億円、2015 年度以降はこれに加えて介護分として約724 億円が、それぞれ毎年積み立てられている。

 

開業支援塾21 代表 小川裕司

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