2019.9.21
谷智亮の理事ブログ『医師の出口戦略』⑫投資資金の捻出方法⑴ 自宅は所有すべきか
財務戦略 投資資金の捻出方法⑴ 自宅は所有すべきか
自宅を買う多くの方は、住宅ローンを利用します。
キャッシュで買える裕福な方は別として、
住宅ローンを利用する方の多くは、
自宅を購入する理由づけを、次のように言います。
ローンを払い終えれば、家が自分のものになる。
ローン完済と時を同じくして定年になった以降は、
家賃を払わずに、そこに永住できる。
「自宅は、買うか借りるかは、ライフスタイルの問題である。
メリット・デメリットの両面があり、どちらが良いとはいえない」
私は、長くこのように考えていました。
しかし、21世紀になり、また、3.11の震災を経た今では、
家は借りるべきであると確信を持つようになりました。
- 東京湾北部での直下型地震が、今後30年間に起きる可能性は70%
東京湾岸東部では3.11による液状化被害が甚大であった
大田区などでは、直下型地震により80%の地域が液状化すると予想されている
- 震災に遭ったと同時に債務超過に陥ることも。
震災に遭ったら建物の価値はゼロ しかしローンはそのまま残る
地震保険に入っていても、建て替えに際し、何ら役に立たないことは3.11で立証済み
- 少子高齢化により家が余る
一人っ子同士が結婚すれば、片方の家は住む人が無く空き家に。
- 既に住宅は余っている
全国平均での空室率は15%に達している
- 2050年には、九州と同じ広さの土地が無人化する
国土交通省の予想によれば、少子高齢化により、
現在人が住んでいる地域のうち、実に2割が無人化すると予想
- 築30年超の住宅に満足に住めるか
住宅ローンの返済が終わり、やっと手に入れた我が家。
ただし、30年落ちの住宅は水回りを中心に機能的に大きく低下する
- 築30年以上の住宅の中古市場がない
欧米と違い、日本には古い家を購入するという習慣が全くない
いきおい、築30年以上の住宅は売れる見込みがない
賃貸に出しても、相場の半分程度しか家賃を取れない
- 新築住宅を買ったと同時に20%値段が下がる
新築崇拝の高い日本では、買った次の日に売りに出そうものなら、
20%値引きしないと売れない。
- 維持費はバカにならない
購入時に特別修繕積立金・不動産取得税・登記費用・借入保証料→200万円?
毎年固定資産税・保険料、毎月管理費・修繕積立金→60万円?
大規模修繕時、一時金の負担可能性あり
- 30年ローンを組めば、借入額の5~2倍を返済する必要あり
今は低金利で融資を受けられるが、金利が急上昇するリスクは常にある。
平成3年ころ、ローン金利が8%台になり、
利息さえ支払えない人が続出した事は忘れてはならない
- 不動産の価格は下がる
上記のような要素や、今後も続く日本経済の衰退により、
不動産が値上がりする要素は少ない
このようなデメリットを上回るだけのプラス要因がなければ、
自宅を買う経済的合理性は認められないことになります。
ひとつのケースですが、
自宅は山梨県の小渕沢に買い(相当安い)、子供は自然豊かな環境で育て、
父親は、東京のクリニック近辺の賃貸住宅に住む。
金曜日の夜小淵沢の自宅に向かい、月曜日の朝東京に戻る
こうすることにより、住居費を半減させる事が出来ます。
また、現在の賃貸専用マンションの質は目を見張るものがあります。
分譲マンションより質の高いものもかなり出てきています。
最初から賃貸専用マンションというのも、有力な選択肢です。
ちなみに私は、賃貸専用マンション住まいでした。
このようにして浮いたお金を月掛投資に回し、5%で運用できれば、
60歳リタイア時には、相当な財産を形成しているでしょう。