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2020.11.12

大澤範恭の理事ブログ『働き方改革』

こんにちは!
開業支援塾21 理事の大澤です。

今週のコラムです。毎週火曜日に、病院・診療所、介護事業所における働き方改革に関するお役立ち情報を配信しています。

今週のコラム「医師の時間外労働削減に有効な変形労働時間制」(2020年11月10日号)

 

 

病院勤務医の時間外労働時間の上限規制が、2024年4月から始まり、年間の時間外労働が960時間(月平均80時間)を超える病院は、医師の労働時間短縮計画を作成しなければならないと言われています。そこで、医師の時間外労働削減に有効な変形労働時間制をご存知でしょうか?

 

一般に、労働者の労働時間は、1日8時間、週40時間が上限とされていますが、1か月単位の変形労働時間制というのは、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(常時使用する労働者が10人未満のクリニックなどは44時間)以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間(常時使用する労働者が10人未満のクリニックなどは44時間)を超えたりすることが可能になる制度です(労働基準法第32条の2)。

 

病院における当直時間について、労基署から宿日直の許可を受けていれば、時間外労働にカウントしなくてもよいのですが、医師の場合、いわゆる寝当直でない限りこの許可を受けることは極めて難しいと言われています。

 

日勤から当直に入る場合、当直が宿日直許可を受けていないと、通常の労働時間扱いとなり、1日8時間を超える時間帯は時間外労働となって、深夜帯(22時から翌5時まで)以外は2割5分増し、深夜帯は5割増しの割増賃金を支給しなければならず、特に医師については、高額の人件費負担増となります。

 

そこで、病院勤務医について、1か月単位の変形労働時間制を採用すれば、特定の日の労働時間が8時間を超えていたとしても、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内におさまっていれば、割増賃金を支給する必要はありません。

 

この変形労働時間制は、労使協定又は就業規則などで労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。

 

また、変形労働時間制をとったとしても、一定の場合には、時間外労働として割増賃金を支給する必要があります。

 

すなわち、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超える労働時間を定めた場合には、その労働時間を超えて働いた時間が時間外労働となります。また、法定労働時間以内の労働時間を定めた日または週は、1日8時間、週40時間を超えて働いた時間が時間外労働となります。

 

さらに、1か月以内の変形期間を通じて、その期間の法定労働時間の総枠(40時間×歴日数÷7) を超えた時間が時間外労働となり、それぞれ割増賃金を支給することが必要となります。

 

少し複雑ですが、詳しくは、厚生労働省のリーフレット をご参照ください。

 

この変形労働時間制は、厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」においても、医師の働き方改革に関する好事例として紹介されています。

 

ここで、ひとつ疑問に思われることがあるのではないでしょうか。この変形労働時間制を採用する場合、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間以内におさまるように、各医師の労働時間を決めるとすると、医師によって働く時間数に差が生じて、不公平になるのではないかということです。

 

この点について、ある労基署に確認したところ、1か月単位の変形労働時間制の結果、従業員間で総労働時間に差が生じる場合に、どの程度の差であれば許容されるのかについて、特段の基準はないようです。労使間で合意されていれば問題はないようですが、できれば、夜勤の平準化や月によって総労働時間を調整するなど各医師の負担が公平になるように配慮する必要があるのではないでしょうか。

 

いずれにしても、医師の時間外労働を短縮するのは、とても難しい課題ですが、この変形労働時間制を採用することも考慮に入れてはいかがでしょうか。

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