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2025.9.3

小川裕司コラム 2025年9月2日

厚生労働省は8月29日、病気やけがなどの受診で医療機関に支払われた2024年度の医療費の概算を、 「総額は48.0兆円と23年度から1.5%増え、4年連続で過去最高を更新した。 団塊の世代が75歳以上になり、後期高齢者の医療費が初めて全体の4割を超えた」と公表しました。

後期高齢者の医療費は全体の4割を超えましたが、医療費膨張は「高齢化」が原因という常識があと10年ほどで変わり、代わりに医療費を押し上げるのが、新薬の普及などによる治療や薬剤の「高額化」になります。

今後、高齢者の増加ペースが鈍っても医療費は増え続けるので、国の制度設計をどうするかが大きな課題となりますが、医療を支えている医療機関の経営が逼迫していることへの、国民の認識と理解が少ないことが大問題です。

医療経営は、ますます厳しさが増して水面下で倒産に直面している医療機関が増加しております。大きな要因が消費税問題ですが、竹下内閣(1989年、消費税3%導入)以降、医療機関は長年にわたって「消費税非課税医療」という特殊な制度設計の中で経営を強いられてきました。 当時、国民負担増に対する世論反発を避けるため、医療機関の診療報酬(保険診療)を非課税とした一見「患者負担を増やさない」措置に見えますが、実際には医療機関が仕入れ時に支払う消費税を患者に転嫁できない仕組みとなりました。

近年の消費税率引き上げ(5% → 8% → 10%)で影響は拡大し、10%の消費税に対して診療報酬での補填は「概算補填方式」による一部補填のみ 、 大病院ほど設備投資が多く負担額が大きい→ 特に急性期病院・大学病院は赤字傾向です。

竹下内閣以降、各政権は「医療の非課税」を維持してきましたが、背景には以下の事情があります

・消費税分を医療費に上乗せすれば、患者負担が増える

・患者負担増は、選挙で大きなマイナス

・結果として、医療機関の経営を犠牲にしてきた構造この結果、 医師・看護師不足、設備更新の遅れによる医療水準の低下、地域医療格差の拡大に繋がっております。

現状を放置すると、特に中小病院・診療所の経営悪化が進み、医療崩壊に直結します。

解決策ですが、

①現行の「概算補填方式」ではなく、実額補填方式 への移行→ 医療費非課税のまま、補填を強化
医療機関ごとの実際の消費税負担を把握し、診療報酬で全額カバー

メリット:患者負担を増やさず、医療機関を救済
デメリット:診療報酬改定作業が煩雑

②医療機関に対する消費税還付制度

医療機関も一般企業同様に、仕入れ消費税の全額控除を可能にする
制度改正には「医療行為への課税化」が必要になる
メリット:透明でシンプル
デメリット:医療費に消費税が上乗せされる可能性 → 患者負担増のリスク

③ 医療行為への課税化+低税率設定

医療行為に消費税を課税する代わりに、軽減税率(例:5%)を適用
欧州(例:ドイツ・フランス)ではこの方式が一般的
患者は消費税を一部負担するが、医療機関の負担はゼロになる
メリット:国際的には標準的な方式
デメリット:国民の合意形成が必要

長期的には、欧州型の課税+低税率+還付が理想ではないかと思いますが、 厚労省・財務省・中医協・日本医師会・日本病院会が一体となった「医療消費税検討会」が必要となりますが、いかがでしょうか。

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